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みかんと惑星

有/閑/二/次/小/説/のブログです。清×悠メインです。 当サイトは、原作者様・出版社等の各版権元とは一切関係ございません。 最初に注意書きをお読みいただければと思います。

サンタガール 2

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サンタガール 2

可憐がカフェルームにいくとステージの近くに80席ほど準備されていた。
(最初にタレントショーで次かあ。長いな…)
そう思いつつ壁際に立ってると野梨子と清四郎がきた。二人とも律儀にケーキを持っている。
(あ、いうの忘れた。)
裏技使えばと。
毎年タレントのイベントのあと、15分ほど可憐が思うにくだらないイベントを行う。その後タレントとの交流会がある。タレントの休憩時間のつなぎだった。
今年はアニメの声優やトーク番組によく出てる人物のトークショーだった。知ってるがあまり興味はない。
でも、前の方があれを見るには野梨子も喜ぶかもなと思い、端の方の前の方に着席した。
清四郎が一番前の列の一番右、その隣が可憐、そして野梨子と続いた。清四郎は身長が高いので一番端に座った。
このとき、可憐は一番前にはじめて座って気付いたことがあった。
小学生の頃に来ていたときは大抵後ろに座っていたから気付かなかった。
(意外と段差がある)
仮設ステージと客席の段差がわりとある上、接近している。
(ちょっと見づらいかも。だからママは後ろに座ったんだ。納得。)
そんなことを考えていると野梨子から声をかけられた。
「可憐、サンタショーってなんですの?」
壁に貼ってある演題に気付いたらしい。
「見てのお楽しみよ。」
可憐は苦笑した。悠理が出演するアトラクションこそサンタショーなのである。
振り返ってみれば、不思議な客層である。タレントのことが好きそうな親子連れと明らかにプレジデントの学生と思われる集団、そしてあやしげなオタクっぽい青年たち。
(基本コンセプトは子供が楽しめるイベントだったんだけどな。)
可憐は不思議に思ったが気にしないことにした。

トークショーが始まり、時々アニメ声などをやって、子供たちが喜んでいる。
オタク風な連中もプレジデントの集団も静かなものである。
清四郎はオタク風な集団は何しに来たのか?と疑問に思ったが敢えて触れないことにした。
トークショーが終了しサンタショーのアトラクションが始まると場内アナウンスが入った。
黒サンタの衣裳をきた男性3人組がトナカイの衣裳をきた人2人を捕らえながら清四郎側から入ってきた。
「赤サンタめ!これで子供たちへケーキは運べまい。ハハハ。」
黒1が言う。
「トナカイ!助けにきたぞ!」
そう言って入ってきたのはよぼよぼの赤サンタだった。
「わー、やられたー。」
あっさりやられ、赤サンタは人質に。
(なんだこりゃ…。)
清四郎は思う。
一体、ここに何しにきたのかと。
「おじいさんを離せ!」
そういって、ステージの左がわからミニスカサンタ登場。
「サンタガール!」
「ヒューッ」
オタクたちが騒ぎ出す。
(あ、悠理♪)
野梨子は嬉しそうに目を輝かせた。
(げっ。悠理)
清四郎はひいた。
でも内心ちょっとかわいいと思っている自分がいることに驚いた。
(うわっ!清四郎)
悠理はいっそう鼠色になる。
今の自分の服装といえばサンタ衣裳のミニスカートに白いブーツ、そしてなぜかセミロングの緩いウェーブの金髪ウィッグ。しかも化粧もしてる。透明感溢れるファンデに唇なんてぷるるんだ…。
ただでさえ、こんな服装してて嫌なのに、清四郎にまで見られてしまうなんて。
心の中で大きくため息をつく。
ぼんやりしていると、黒2が叫んだ。
「やっちまえ!」
どうやら、悠理は台詞を忘れたらしい。
はっと気づいたとき、黒3が飛び掛ってきた。
(そうなのよねぇ…。)
可憐は心の中で呟く。
本格格闘をするこのサンタショー。飛び蹴りとかやる美少女が毎年出ていた。
確かに悠理は美少女だから、合っているといえば、合っているけど。
(大丈夫かしら。)
体重の重そうな男達と格闘である。
可憐は若干心配していた。
すると、後ろのほうから、怪しげな言動が聞こえてきた。
「悠理さまのコスプレ最高ですわね。」
「ほんとに。」
「ケーキ屋、黒サンタに薬盛ってないの?結局。」
「そうみたい。」
「大丈夫かしら…。」
「心配ですわ。」
(薬、盛る?黒サンタに?怖いなぁ…。)
可憐はちらっと後ろを振り返った。
いたのは、プレジデントの生徒だった。
(なんだ、悠理ファンか…。)
ステージを見ると軽々と悠理は黒3をかわし、右ストレートがみぞおちに決まる。
(心配の必要は、ないか。)
可憐は安堵した。
同じく、見ていた清四郎は、気の毒に、と苦笑していた。
「キャー!悠理さま~!」
「すてきー!」
「サンタガール、かっこいいぞー!」
あちこちから、声援が聞こえる。
子供達のほうが唖然としている様子に可憐は笑った。
「悠理~、頑張るんですのよー!」
黒1と闘う悠理に、いつのまにか野梨子まで声援していた。
(さすが、本格格闘。)
可憐は感心してしまった。
一方、ステージ上の悠理はブーツの高さにいつものように動けずにちょっと戸惑っていた。
(意外と黒サンタ強いし。回し蹴りしてくれと言われたって、この靴じゃそう感単にはできないし…。もっと動きやすい服装にしてくれればよかったのに…。)
心の中で不満たらたら。
3分ほど格闘して、黒1に悠理は勝った。
残りは黒2だけ。
同じ服装しているくせに、黒2が黒幕らしかった。
回し蹴りをいれる。
「キャー!」
「おおっ!」
「悠理さま素敵~!」
「しびれるわ~!」
「かっこいい!」
左側、そして可憐の後ろから上がる黄色声援とオタクたちの喜ぶ声。
そして、回し蹴りをした結果、スカートの中からは…。
(赤い、パンツですか…!)
清四郎は目が点になった。
自分の席からよく見える赤いフリフリのパンツ。
目がちかちかして、くらくらしてきた。
(見なくともいいものをみてしまった…。)
そう思いつつ、清四郎の目にしっかり目に焼きついた。
ちなみにオタクたちとファンは大喜び。
「悠理、今日はタマフクパンツじゃないんですのね。」
野梨子が可憐に聞いた。
「ああ、あれは私があげたアンダースコートよ。赤の衣装だから、赤のね」
小声で可憐が答える。
(アンダースコート…。アンスコ…。アンダースコア…。"_"(アンダースコアの記号))
心の中で変な変換をする清四郎。
それはさておき、その間に黒2がまた立ち上がり悠理を襲おうとした。
悠理は一度後ろのほうに下がって、助走をつけた。
(さて。最後だから、決めますか♪)
悠理の飛び蹴りが黒2に決まる。
またも見える赤いパンツ。
黒2はその場に倒れた。
清四郎はまたしっかり目撃し、くらくら。
悠理の飛び蹴りが見事に決まって、観衆から歓喜の声と拍手があがる。
そして、悠理は着地所が悪く、ステージから足を踏み外した。
「あっ…。」
清四郎の上に落ちていく。
清四郎は一瞬逃げようとしたが、後ろに被害を与えてしまうかもしれないと悠理を抱えることに決めた。それもほんの一瞬の間に。
だが、結局バランスを崩してしまい…。
ガッシャーン…。
椅子が倒れる。
清四郎と悠理が重なり合うようにして倒れた。
そして、ぷるるんとした唇は清四郎のくちびるに触れてしまう。
(悠理の唇が…。)
(嘘!)
悠理はみるみる青ざめた。
「わーっ!」
悠理は清四郎から飛び去ると、叫んで会場から立ち去った。
清四郎はその場で呆然とする。
唇が触れたことに気づいた人は悠理のウィッグで誰もいない、と思う。
でも、確かに触れてしまった。
(逃げるほど、嫌だったのか…。)
何故かそのことに多大なショックを受けた。
椅子を起こして立ち尽くす。
頭の中では自分が何故ここまでショックを受けるのか、考える…。
ナレーションが入って、とりあえず、アトラクションは締められた。
予定より早かったので、休憩時間となる。
「清四郎…。ケーキ…。」
可憐が清四郎のぐちゃぐちゃになったケーキを拾い上げて渡した。
清四郎は硬い顔をしていた。
そして、可憐は悠理が逃げていった理由を理解した。
「はい、ハンカチ。口、拭いたほうがいいわよ。」
そういって、可憐は清四郎にハンカチを渡した。
清四郎は可憐からのハンカチを受け取らずに、ぐちゃぐちゃのケーキを持ったまま外へ飛び出していった。
「あらあら。」
可憐は苦笑した。
気づかなければ気づかないで済んだことに気づいたのね、と。
状況が呑み込めていない野梨子は、突然走っていった清四郎を追いかけることもせず、ただ、その場に立ち尽くした。

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