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みかんと惑星

有/閑/二/次/小/説/のブログです。清×悠メインです。 当サイトは、原作者様・出版社等の各版権元とは一切関係ございません。 最初に注意書きをお読みいただければと思います。

月明かりの下でキスをして

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月明かりの下でキスをして

夏の、ある日。
みんなで清流の近くにキャンプにきた。
材料を買いに、可憐と野梨子と美童が。
そして、テントを2つ作るのに、あたしと清四郎と魅録が。
適材、適所。
美童はそういって笑った。
テントを作って、暇だったから、3人で沢のほうへ遊びに行く。
鮎やサワガニがいた。
「鮎、とろうぜ、鮎。」
「無理ですよ。何も持たないのに。」
「罠でも仕掛けないと、捕まえることなんて、できねぇよ。」
「ちぇっ…。」
あたしはそれでも、鮎を取ろうと鮎を追った。丸い石があったのに、気づかず、滑る。
「わっ…!」
しりもちをついて、ずぶぬれ…。
ちっ…。
「ほら…。」
魅録が手を差し出した。あたしは魅録の手につかまった。清四郎を見ると、「ほんとにバカですね。」と、冷たく。
魅録は優しい。
いつでも、あたしを優しく助けてくれる。
清四郎は、優しくない。助けてくれるけど。
「いたっ…。」
立ち上がろうとしたら、足に痛みが走った。思わず、魅録に縋りつく。
「どうした?」
「足が痛いんだ。」
「どれ?」
清四郎がかがんで、あたしの足に触れる。
ドキン…。
次の瞬間、「いてぇ…!!!」、涙が出てきた。酷い。
「ちょっとひねっただけでしょう。…ったく。」
あたしをひょいと肩に抱えあげた。
「おい!」
あたしは驚いて清四郎を振り返る。
魅録があたしの顔を見て笑う。
「いつも、あれだけ食べてる割には、軽いですね。」
飄々として言う清四郎。
「おろせよ…!。お前も濡れるだろう?」
「どうせ、歩けないくせに、何言ってるんですか。」
相変わらず、冷静に言う。
あたしは黙りこんだ。
確かに痛くて歩けそうもない…。
本当は。
濡れたシャツを通して清四郎の温もりが伝わってくるのが、居心地悪かった。
恥ずかしいというのか。
くすぐったいというのか。
でも、…このままで、いられたら?
あたしは顔が熱くなった。
どうしてそんなことを思ってしまうんだろう…。
「悠理、顔が赤いぜ。」
魅録に突っ込まれる。たぶん、より一層あたしの顔は赤くなった気がする。
あたしは…。
言葉を飲み込んで、言った。
「あたしだって、一応、女の子なんだぞ!こんな風に抱えられて…。恥じらいくらいあるわい!」
魅録と清四郎がくすくすと笑う。
いいんだもん。
放っておいてくれ…。

テントに着いて、「先に着替えなさい。」と言って、おろされた。
「着替えたら、僕を呼ぶんですよ、悠理。シップ貼りますから。」
いつになく、優しい表情をした。
あたしは服を着替え、清四郎を呼ぶ。すると、あたしを抱きかかえて椅子に座らせる。ひんやりした手で、足にシップを貼ってくれた。
「これで大丈夫でしょう。一人で歩くのが不便だったら、僕にいいなさい。」
うん、とあたしは頷いて、清四郎の顔を見上げた。清四郎がにっこりとあたしに微笑み掛ける。
みんなといるときに、こんな顔なんて見せたことがないのに。
嬉しいけど、…少し、胸が痛い。

可憐たちが戻ってきて、夕飯を作り始める。
あたしは足を怪我したから、テントの中でぼーっとしていた。
外から楽しそうな笑い声がする。
覗いてみると皆が楽しそうに料理していた。
あたしもあの輪の中に入りたい、そう思うけど。痛くて自由にならない足。
あたしは足にたいして恨めしく思った。
どうして、あのとき、滑って怪我なんてしたんだよって。
「悠理。」
魅録がやってきた。
「外で一緒にどうだ?」
「うん。」
肩を貸してもらって、外に出る。
夕闇が迫っていて、外はオレンジ色に包まれていた。
「早く食べないと、真っ暗になっちゃうね。」
そういいながら、空を見上げる。金星がきらりと光っていた。

夕飯を食べて、あたしたちはお酒を飲み始めた。
足は痛いままだったけど、楽しくお酒を飲んでいた。
ところが。
やっぱり、あたしのやること。
「あ~あ!」
一斉に声がハモる。
まんまと赤ワインをこぼしてしまった。
隣に座っている、清四郎も巻き添えにして。
「全く…。」溜息をつき、呆れた顔であたしを見る。
「ごめん…。」
は~っ…。タメイキだ。あたし自身、呆れる。
「じゃあ、着替えて、ちょっと洗いに行きましょう。」
そういうと、清四郎はあたしをテントに連れて行った。

「もう、着替えましたか?」
「うん。」
「服は持ちました?」
「持った。」
あたしはテントから這い出ると清四郎につかまろうとした。
清四郎はあたしの手をとると引き上げる。
そして…。
「ゲッ…!こんなのやだよ。」
「何いってんですか?このほうが危なくないでしょう。」
お姫様抱っこ!!!
こんなとこ、みんなに見られたら、どうするんだよー!!!
テントの後ろの方にいる、他のみんなが気になっていた。
どうか気づきませんように…。

満月まではいかないけれど、それなりの月明かりの中、昼間の清流に向かった。
あたしは清四郎の首に手をまわして、抱っこされていた。
少し、首が汗ばんでいる。
そりゃ、そうだ。
あたしを運んでるもの。しかもあたしの上に洗濯物の袋をおいているから、落とさないように歩くのが大変だし。
清四郎と二人きりで歩く道。
あたしはちょっと嬉しかった。
清流に到着し、あたしは汚れた衣類を水で洗った。
といっても、足が痛いので、大きな石に座りながら変な体勢で揉み洗いはせずに水につけていた。水の流れに沿って、手にもった衣類が浮かぶ。
適当なところでとりあげて、月明かりに晒すと、すこーしだけ、赤ワインの色が薄くなったような気がした。
ま、いいか。これで。
あたしは満足げに笑みを浮かべる。
「悠理、それじゃあ、洗ったことにならないでしょう。」
呆れた声が上から降ってきた。
どうやら、あたしの行動は見られていたらしい。
清四郎はあたしから洗濯物を取り上げると、丁寧に洗ってくれた。
そして、袋に放りこむ。
「これでいいでしょ。」
にっこり、微笑む。
「ありがと。」
「お礼はしてもらいますからね。」
「えーっ!なんだよ、それ。あたし、怪我人なんだぞ!」
「いいえ、駄目です。」
冷たく言い放つ。
ケチ、ドケチ…。
やっぱり、清四郎って、こんな奴なんだ。
「じゃあ、何すればいいんだよ。」
あたしはふてくされ気味に言う。
「目を閉じてください。」
目?
言われるがままに目を閉じる。
えっ…!!!!!。
目を開ける。
うっそ~!!!!!。
あたしの唇に柔らかいものが触れた。と思ったら、清四郎の唇だった。
もう、信じられないくらい、心臓がドキドキする。
どうしていいのかわからない。
一人パニック状態。
ゆっくりと清四郎が、唇を離す。
「目をあけていたんですか?閉じてくださいって言ったのに。」
不機嫌そうな声。
「だって、まさか、その…。」
キスなんてされると思っていなかったから。
言いたいことも言えない。
あたし、しどろもどろだ。
心臓の音が清四郎にまで聞こえそう。
「じゃあ、もう一度、目を閉じてください。」と優しい瞳で微笑みかける。
あたしはもう一度、目を閉じた。
清四郎があたしの肩を軽く掴む。
そして、もう一度、あたしに口付けた。
今度はさっきよりも、深く。
月明かりの下で。

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(2006.5.26)なんか、なんだろう(苦笑)。本当はもうちょっと違うストーリーになるはずだったんだけどなぁ。
りかん
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