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みかんと惑星

有/閑/二/次/小/説/のブログです。清×悠メインです。 当サイトは、原作者様・出版社等の各版権元とは一切関係ございません。 最初に注意書きをお読みいただければと思います。

変わらない、場所 ⑧

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変わらない、場所 ⑧

それから子育てが忙しかったがあたしは穏やかな生活を送っていた。旦那はあたしが子育てに忙しくしている間、会社のほうが忙しくて泊まりこみがしょっちゅうだった。
「すまないね。悠理。」
たまに帰ってくるとそう言ってやつれた顔で微笑み、青佳の顔を見たあとに、自室に入って倒れ込むように寝入った。
そんな姿をみてかわいそうだとは思ったけど、触れられたくなかったのであたしには好都合だった。
子供はますます清四郎に似ている気がしてきた。旦那には全く似ているところがない。眉毛なんて意思が強そうで本当に清四郎にそっくりだった。
青佳を見た人たちは、皆、旦那の子ではないとは思っていないので、母に似ていると言っていた。
かあちゃんの髪が黒くて真っ直ぐで、ほんとによかった、と思う。
誰も疑わない。
あたしの中ではこの状態にすっかり安心しきっていた。

子供中心に生活を始めて一年近くが過ぎようとした頃だった。
野梨子と可憐が二人揃って遊びに来た。
「青佳ちゃん、こんにちは~。」
青佳の顔を見るなり、二人はとろけたような顔をして、よく眠っていた青佳の頬をつついた。
「いいわね~。ぷりぷり。」
可憐は心底うらやましそうにいった。
「そうですわよね。何もつけなくとも、この艶ですもの。」
ほう、っと野梨子はため息をついた。
「コラーゲン、たっぷりだわ。わたしにも分けてほしい。」
「まあ!可憐たら。」
野梨子はあきれて笑った。
「それにしてもおばさまに似てますわね。」
「ほんとね。似てるわよね。髪が黒くて真っ直ぐなところなんかそっくり。」
「将来、美人になりますわ。」
「きっとね。でもわたしほどの美人にはならないと思うけどね。」
あたしはその話を聞きながら笑うと、二人にコーヒーと可憐たちが持ってきたケーキを出した。
「相変わらず母になっても優雅な生活しているわね。悠理。」
「そんなことないよ。やっぱり、家にいたときと違って、一人でやらなければならないこと、多いし。お手伝いさんがいるとは言ってもやっぱり実家とは違うしな。」
あたしがそういうと、可憐も野梨子も笑った。
「あたり前よ~。あんな生活、普通はできないわよ。」
「そうですわよ。今の生活だって、普通の人ではできないものですのよ。しかも、悠理のご主人は悠理のことを愛してらっしゃいますし。」
「そうよねぇ。ほんとにいつも悠理のことを気にかけてるものね。幸せ一家よねぇ。」
そういいながら、可憐はちょんと青佳の頭をつついた。
青佳はすやすやと眠っている。
「こんなにかわいい子にも恵まれて。」
「ええ。そうね。」
野梨子も可憐も青佳を見ながら、にこにこしている。
「でも、悠理が最初に母になるなんて、思いも寄りませんでしたわ。」
「わたしもよ。絶対、母になるのだけは悠理に勝とうと思っていたのに。」
「そうでしたの!?可憐。彼氏もいませんのに。」
「またいないの?」
野梨子が笑い、あたしも笑った。
可憐だけが「悪かったわね…。」とぶちぶち言いつつ怒っていた。
「ねぇ、そういえば、赤ちゃんの血液型って、いつわかるの?」
ケーキを一口、口に運んで可憐が言った。
「あー、病院で退院のときに教えてくれたぞ。まだはっきりわかんないけどって。」
「検査してくれるんだ。」
「別の人に聞いたら、病院に寄るって言われたけどな。」
「へぇ~。で、青佳ちゃんは何型だったの?」
「えっ、あ~、確か、A型。」
「ふうん。悠理、何型だっけ?」
「あたし?あたしはOだよ。」
「じゃあ、ご主人がAかABなんですのね。」
「そうよねぇ。あの人、あたしと同じAかもしれないんだ~。見えないなぁ…。」
あたしは敢えて何も言わなかった。ただ、にこにこと微笑んでいた。
何を根拠に、旦那がAとかABだというんだろう…。
彼女たちにはあたしの知らない知識がある。そこで、導き出したようだった。
O型とB型からはA型の子供は生まれない…。
そう言われた気がした。

可憐たちがきてから1週間後のことだった。
旦那が不機嫌な顔をして夜遅く、帰宅した。
「どうしたの?」
あたしが聞くと、「仕事のトラブルでね。」と答えた。
「そう。じゃあ、あたし寝るよ。」
「あ、悠理。」
旦那があたしを呼び止める。
「明日、青佳と出かけてきてもいいかな?」
「うん、いいけど。どこに行くの?」
「たまには娘と二人でデートもいいかなって、思ってね。」
旦那は微笑んでいたが、どこか笑みがぎこちなかった。
何かしたかな?とは思ったが、特に気にしないことにした。
「あ、悠理、髪に何かついてる。」
旦那があたしの髪の毛を触った。
 「痛っ!」
 かなり痛い。
「ごめん。ごみかと思って引っ張ったら、髪の毛だった。」
すごい勢いで引っ張られた。絶対に2、3本、抜けたはずだ。
「そんなに勢いよくひっぱったら、禿げるよ。」
あたしは不満げに言った。
「ごめん。」
旦那は苦笑した。あたしもつられて苦笑する。
「じゃあ、おやすみ。悠理。」
「おやすみ。」
あたしそう言って手を振ると、部屋へ向かった。
なんとなく、もう一度旦那のほうを振り返ると旦那は何かを封筒にしまっていた。
何しているんだろう?
なんだか、様子が変だな…。
そう思ったが、あたしはそのまま自室に入った。

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短いですけど、ここで一度きります。
旦那のこの行動の意味は…?(笑)
(2006.02.13)

りかん

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