忍者ブログ

みかんと惑星

有/閑/二/次/小/説/のブログです。清×悠メインです。 当サイトは、原作者様・出版社等の各版権元とは一切関係ございません。 最初に注意書きをお読みいただければと思います。

ラブストーリーは…突然に 1

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

ラブストーリーは…突然に 1

張から帰ってきて、僕は駅の改札を抜け、タクシー乗り場に向かおうとしていた。
「清四郎!」
後ろから声をかけられ、振り返ると、そこには見知らぬ女性がいた。
白いコートを着たお嬢様風の女性だった。
髪は肩の下までで、ふんわりとカールしていた。そして綺麗に化粧をしており、そして、唇には微笑みを讃えていた。
印象的な瞳をしていた。
どこかで見たことがある、とは思ったが。
こんな女性は知らない…。
なぜか、動悸が速まる。
「あの、どちらさまですか?」
僕は人違いだと思って、遠慮がちにたずねた。すると、彼女はおかしそうに笑った。
何がおかしいんだろう?
その問いをぶつける前に、彼女は言った。
「わたしよ、悠理」
「えっ…」
僕は一瞬絶句する。
「…悠理ですか?」
そこにいたのは、まさしく女性で、男か少年かわからない容姿の悠理はそこにはいなかった。
「少し、時間あるなら、お茶でもどう?」
言葉遣いも変わってしまって、僕は何か夢でも見ているのではないか、と思ってしまった。

近くのホテルの喫茶店に僕たちは入った。
「久しぶりよね」
悠理はオレンジジュースを口にしながら、懐かしそうに僕に問う。
「そうですね…」
僕が進路を変更して、心臓血管外科を目指して違う大学に入り、そして、悠理はそのまま進学してプレジデントに入った。
まもなく、魅録とも付き合ったと聞いた。
もう、ずっと会っていなかった。
会うチャンスはいくらでもあったのだが、黙って違う大学に入ってしまったことに気がひけて、会えなかった。
野梨子からは、それとなく、皆の情報は聞いていた。
大学生のころ、までは。
もう、大学も卒業して、6年が経っている。
「清四郎?相変わらず、医者をしてるんでしょう?」
その聞き方に、少し、僕は苦笑する。
相変わらずって、何だ…?
けれども突っ込み返さずに、僕は普通に答えた。
「ええ、相変わらず、医者を目指してます。悠理は、今、どうしてるんですか?」
「わたしは、今、秘書をしているわ」
「豊作さんの?」
たずねると、悠理は声を立てて笑った。
「兄ではないわ。」
「では、誰の?」
純粋に興味で聞いただけだ。
「父の紹介で、ある政治家の秘書よ…」
声のトーンが下がり、悠理の瞳の奥が翳る。
言葉遣いや態度が変わったのは、秘書をしているため。
ただの秘書?
僕はその問いを悠理に向けようとしたが、悠理はうつむいてストローを銜えた。それ以上、聞いてほしくない、と言ってるようだった。
「そろそろ、帰るわ…」
ジュースを半分残したまま、悠理は席を立つ。
「僕も、行きますよ」
一緒に席に立ち、僕がレジでお金を払っている間に、悠理は店の外に出てしまった。
悠理が、悠理ではないようだ…。
おつりを受け取りながら、さびしい気持ちになった。
たった10年しか、経っていないのに、人はこんなに変わるものだろうか?

店の外に出ると、悠理が立っていた。
「雨、降りそうよ」
空を見ながら、言った。
どんより空は曇っていて、今にも雨が振り出しそうだった。
「こんなに寒いから、雪になるかもしれないわね」
「ええ…」
悠理が、僕を見る。
「どうか…」
しましたか?といい終わらないうちに、悠理は僕の首に腕を回し、僕に口付けた。
やわらかい唇の感触が、僕の唇を覆う。
僕は、今、悠理にキスをされた?!
僕の頭の中は、混乱する。
軽く口付けただけで、悠理は僕から離れた。
「またね」
軽く手を振って、去っていく。
心臓が激しく波打っている。
そして、雨も、強くなってきていた。


何度か、悠理に連絡をとろうと思った。
けれども、いつも、受話器を持ち上げたところで、指がとまる。
悠理の連絡先は、剣菱邸しか、わからない。
いまさら、なんといって、取り次いでもらう?
それに、悠理のしている仕事。
秘書と言っていたが、おそらく、ただの秘書ではない。
おそらく、愛人か、何かなんだろう。
剣菱邸の事情を考えると、そうせざるを得ないことがあったのかもしれないし、本当にそうだったのかもしれない。
そんなことを思いながら、2ヶ月が過ぎた。
毎日毎日、僕は悠理のことを考えていた。
会いたい思いが、募る。
毎日悶々としながら、僕は仕事をしていた。

僕か医局で資料を読んでいると、僕の先輩にあたる女医の冬池倫子が近づいてきた。
「最近、菊正宗くん、様子がおかしいわよ」
にやにやしながら、続けた。
ドキッとする。
様子がおかしいって、どこが?
「なんか、時々ぼーっと、考え事しているわよね。恋の病?」
「何を言ってるんですか?」
僕は冷ややかに見返した。
動揺を見破られないために…。
「ほら、そういう態度を取るところが、そうだって言ってるもんじゃない?」
えっ…。
「…放っておいてください」
ムッとしながら、答えた。
僕が恋の病だなんて、ありえない。
しかも、悠理に…。
僕が気になるのは、悠理に恋をしているわけではなくて、悠理が変わったことに対して、そしてキスをされたことに対して気になっているだけで…。
「ほら、またぼーっとしている。今日、当直じゃないんでしょ?付き合いなさいよ、お酒」
「いや、これから治療方針を決めるのに、資料に目を通して…」
「だめよ、先輩命令」
ほぼ、強制だ…。


---
(2007.12.2)とりあえず2周年ってことで、書いてみました。
先日、知人にライブに連れていってもらい、小田○正にわかファンになったりかんです(笑)
内容的には白でもいいんですけどね。。。これ。
不倫してるってことで、灰?
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

プロフィール

HN:
りかん
性別:
非公開

P R

忍者カウンター